五行の法則(その1)

五行説は陰陽観のあとで古代中国に生まれた世界観です。森羅万象を、互いに相関関係をもつ五つのグループ(五行)に分類し、相生・相剋の論理に基づく相関関係によって、バランスと循環を成立させています。

五行の法則はこの世のすべてを木・火・土・金・水という五種類の元素に分類することからスタートします。五行分類の例をまとめたものが表 です。五行のそれぞれは互いに『生まれる』『生み出す』『和合する』『剋す』『剋される』という作用によって相関関係が成立しています。五行は、必ず他の五行から生まれ、そして他の五行を生み、剋し、剋され、同気同士は和合するのです。例えば木は、水から生まれ、火を生み出し、木と和合し、土を剋し、金に剋されます。

この関係の中では、『生まれる』『生む』と『和合する』の関係は相性が良く、『剋す』『剋される』の関係は相性が悪いとされるのです。つまり、自分にとって親、子、兄弟にあたるものとは相性が良いと考え、天敵にあたるもの同士は相性が悪いと考えるのです。 五行の相性を考える上で大切なのは、自分からみた相手との関係です。おなじ悪い相性でも、自分が『剋す』側なのか『剋される』側なのかでは、対応が異なるからです。

人間関係は、相性の良否で相手を選べるとは限りません。したがって、自由に相手を選べるときには相性の良い人を選ぶことが得策といえますが、すでに成立している人間関係(家族や友人、夫婦、上司や部下)では、相性の吉凶そのものより相手との相性によって生じる人間関係の傾向を知って、より良い関係を築くための対応策を考える事が大切です。
『愛は相性を凌ぎ、情は相性を補う。身勝手は相性を破り、無神経は相性を壊す』

相性が良いもの同士は、良い人間関係を築きやすく、相性が悪いもの同士は、争いや行き違いが生じやすいと考えてください。二人が愛しあっている場合は、相互に相手を思い、相手に気遣い、良好な関係を継続するための努力を惜しみません。したがって、愛があれば、相性の悪さなど簡単に乗り越えられる障害です。また互いに情をもって接していれば、やはり相手の事の立場を尊重して気遣うので、相性の悪さを補うことは可能です。しかし愛も情も無いとすれば、相手への思いやりも気遣いも到底望めません。相互に相手の言う事に耳をかさず、自分の主張を通そうとすれば当然、行き違いも争いも生じてしましまうでしょう。まして相性が悪いとなれば尚更です。良好な人間関係の素は、なんといっても相手に対する愛と情なのです。そしてたとえ愛も情も無いとしても、相手への気遣いさえあれば、そこそこうまくいくはずなのです。